少年犯罪の減少傾向の裏側を考える

 平成22年をピークにしてここ十年ほど、未成年の犯罪数はずっと減少傾向にあるそうです。
 昨年度も中学生・高校生の犯罪数は一昨年に比べると減少しているそうです。

少年犯罪の減少化

 このことは大変いいことのように思います。
 しかしながら大学の犯罪学で学んだことなのですが、警察が取り締まりを厳重に行えば当然、犯罪者の検挙率も高くなり、逆に取り締まりを軽くすれば検挙率は低くなり犯罪者の実数はおのずと減少します。
 つまり、そこには必ず露呈してない犯罪者もいる訳で、これを「暗数」と呼びます。
 ですから1~2年の状況を取ってみて、少年犯罪は減ったと結論づけるのは早計ですが、十年の統計をみて減って来たというのは、かなり真実味があるように思います。

 しかし、この実態にも実は落とし穴があるようです。「少子高齢化」という言葉があるように日本で出生率はどんどん低くなり、子どもの数が減って来ています。つまり子ども全体の数という分母も小さくなって来ているということは無視できないことです。
 たとえば昨年より今年の中・高校生の犯罪者数は減ってはいるものの、子どもの数を分母にして、犯罪率を出すとむしろ若干増えているというのです。
 ですから、少年の犯罪が減少しているというのは正しくもあり、また別の意味ですと誤りでもあるのです。

 もっと問題なのは、犯罪の年少化が進み、小学生の高学年の者が犯罪行為を犯す数が増えているということです。
 刑法41条では、「14歳に満たない者の行為は、罰しない」と規定しているために、小学生がたとえば万引きをしても、窃盗として罰せられることはありません。しかし、児童福祉法という法律があり、子どもの健全な発育を促進するために、警察は小学生が万引きをした場合には児童相談所に通告するような処分がなされるようになっています。
 若い人は「可逆性」があるとされ、その子どもの将来を考えた時、そのような犯罪行為は早い時期で反省してもらい、真っ当な道を歩くような指導が必要とされていますが、最近では少年の再犯率も増加傾向にあるようで、核家族化、両親の共働きの増加から子どもたちへ届く家族の目も少なくなり、少年犯罪の防止は現代もなかなか困難が続くようです。